2016年2月5日金曜日

プレビュー/The Straits Times(2016年2月2日掲載)by Nabilah Said

シンガポールの新聞「The Straits Times」にて、多田淳之介インタビュー記事が紹介されました。プロジェクトメンバーの 齋藤梨津子さんの和訳もご覧ください。




「デスロックで固められて」

日本人演出家の多田淳之介(39)がコラボレーターのきたまりと共に、6人のシンガポールのダンサーと2人の日本人ダンサーとつくりあげる『RE/PLAY Dance Edit』を発表する。 このコンテンポラリーダンス作品は2011年に多田と彼の劇団・東京デスロックが初めて上演した。「再生」という概念と、身体の動きの反復を探求する作品である。 今回の公演はシンガポールのTheatreWorksと日本のOffsite Dance Projectのコラボレーション。 


なぜご自身の劇団を東京デスロックと名付けたのですか?  
真面目じゃない理由としては、自分がプロレスファンで、デスロックというプロレス技に由来しています。この技で固められたレスラーは相手から逃れられなくなってしまうという技です。
真面目な理由としては、劇団の初期の活動の中で、自分が死をメインテーマに作品をつくってきたからです。死とは、人は誰でもいつの日か直面する現象です。さいごには皆死んでしまうので、我々はより幸せに、より穏やかに生きようともがいています。

どんなものからインスピレーションを受けますか?  

日本での日常生活からインスピレーションを受けます。 
2011年の東日本大震災と福島の原発事故以降、人々が今まで考えもしなかったことを意識し始めたので、とても興味深く感じています。 
もちろん今までの態度を変えずに、物事を真剣に考えない人たちもまだまだいますが。彼らが何を考えているのだろうかということに思いを巡らせています。

現在どのようなことに取り組まれていますか? 

日本で上演する新作を作っています。2020年の夏季オリンピックが東京で開催された後どうなるかという話です。 
日本社会は経済的にも、その他の面でも、身の丈以上の努力をしているように感じられます。オリンピックが終わったら、何かしら悪い衝突が起きて、それが社会に影響を及ぼすのではないかと思っています。

上演中の面白いエピソードはありませんか? 

2006年に初期の『RE/PLAY Dance Edit』を上演した時、観客の一人が「こんなの演劇じゃない!帰れ!」と叫んで途中で帰ったことがありました。 
アーティストとしては作品を否定されて残念でしたが、普段シャイな日本人の観客がこのような強烈なリアクションを示したのでとても面白かったです。

芸術家でなければ、どんな人になっていたと思いますか?  

ミュージシャンになっていたと思います。中学生から25歳ぐらいまでバンドを組んでいて、ベースとギターをやっていました。バンド名はKubrickです。メンバー全員が好きだったStanley Kubrick(アメリカ人映画監督)からとりました。

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