2016年2月15日月曜日

アーティスト・インタビュー

シアターワークス『RE/PLAY Dance Edit』特設サイトに掲載されているアーティスト・インタビューを紹介します。
翻訳:齋藤梨津子

多田淳之介
https://replay2016.wordpress.com/2016/02/05/interview-with-theatre-director-junnosuke-tada/ 

RE/PLAY Dance Editを制作しようと思ったきっかけはなんですか?
2006年に自分が主宰する東京デスロックで「再生」という作品を発表しました。集団自殺をする若者達が死ぬまでの30分を3回繰り返す作品で、身体と時間の不可逆性から「生」と「死」を描いた作品でした。5年後の2011年、東日本大震災を受けて「再生」のコンセプトを発展させた「再/生」という作品を発表しました。台詞も排除し、更に不可逆性、断絶、繰り返せないことを強調した作品です。その後、ダンサーのきたまりがプログラムディレクターを務めたOffsite Dance Project主催のダンスフェスティバル(「We dance  京都2012」)でダンサーと作品を作る機会があり「再/生」をダンサー達と作ったのが最初です。その後横浜のダンサー達とも作りました。俳優版も身体表現による作品でしたが、ダンサーと作った時に更に「踊る/踊らない」というコンセプトを追加したことで、人間とダンス、言葉と表象という作品の軸が追加され、また違った時間との関係を持ちうる新たな作品となりました。

シンガポール版RE/PLAYは、これまでのバージョンとどのような違いがあると思いますか。シンガポールの文脈で、シンガポールの観客に向けて本作を上演するに当たり、取り組もうと思っている課題をいくつか教えてください。
使用する楽曲が作品に大きく影響するので選曲が難しいと思っています。現地のダンサーやスタッフ達と相談しながら決めようと思っています。中国系、マレー系、インド系などさまざまな人種が暮すシンガポールでは、踊りを発する身体そのもの違い、その断絶からさまざまなことを想像してもらえたらと思っています。そして、シンガポール、東南アジア、アジア、世界ということを考えるきっかけになったら嬉しいです。

数年後には東南アジアの各都市で様々なバージョンのRE/PLAYが上演される予定です。どのような課題や反響があると予想しますか?
作品の上演では、個人同士のつながり、断絶から、家族、地域、国と意識のサイズを広げていきたいと考えているので、どこの国でも、まず個と個の関係についての文化的背景を知ることが最初の課題だと思っています。演劇の手法を元に、踊り、踊ることについて描いている作品なので、演劇、ダンス関係者からどんな反響があるのか楽しみです。

ジャンルや文化を越えて作品づくりをすることをどのようにお考えですか。
演劇では、特に韓国では8年間活動を続けているので今は当たり前に共同製作をしています。ダンサーとの作業や、子供や一般の方との作品作りも最近は多いので、自分にとっては相手が誰であろうと自分の演劇から学んだ手法を使って作品を作るという感覚です。海外での活動は、お互いを知り、お互いの違いも知ることで、人間とは何か、同じ国の人同士でも違いや伝わらないことがあること、国、国境とは何かということを考える大切な時間です。

本作をつくり上げるにあたって、達成したいと思っていることを教えてください。
作品を見ている時間が、過ぎていく時間が愛おしくなるような作品にしたいと思っています。

きたまり
https://replay2016.wordpress.com/2016/02/05/interview-with-collaborator-kitamari/

RE/PLAY Dance Editを制作しようと思ったきっかけはなんですか?
初演の企画者として、ダンスが言葉を超える身体の強度を見せる為に、優れた演出家との共同制作が必要だと感じたので、多田さんにダンサーを演出してもらうことを決断したのが始まりです。

インスピレーションの源となるようなものがあれば教えてください。
人生のすべて

どうしてRE/PLAY Dance Editに参加しようと思ったのですか?
初演の企画者としての責任と期待。ダンサーとしてダンスの限度を超える為に。

シンガポールと日本の共同制作の一員として、どのようなことを期待していますか?
ダンスが世界をつなげることができるかどうか。

作品をつくり上げた暁には、自分の中にどんなものが残ると思いますか?
ダンスせざる得ない身体。

今村達紀
https://replay2016.wordpress.com/2016/02/05/interview-with-japanese-performer-tatsunori-imamura/

インスピレーションの源となるようなものがあれば教えてください。
今まで見てきたもの、聞いてきたものからインスピレーションをえている。今見ているもの、聞いている音、音楽、あるいは雑音からインスピレーションをうける。これからみるもの、これから聞く音にもインスピレーションを受けているはずです。もちろん目や耳で感じ取れないものからも同様です。

どうしてRE/PLAY Dance Editに参加しようと思ったのですか?
僕は2012年のRE/PLAYに参加していました。前回は多種多様な人が集まっていました。今回はさらに未知数な人とどのようなRE/PLAYができるのか楽しみだと思い参加しました。

シンガポールと日本の共同制作の一員として、どのようなことを期待していますか?
出自の違う多様な体、思考、人がこの作品にうまく作用する事を期待しています。

作品をつくり上げた暁には、自分の中にどんなものが残ると思いますか?
自分の体とギリギリのところでつき合う方法が残ると思います。多様な体の中でいかにそこに居る事ができるかということも。

Mario Chan
https://replay2016.wordpress.com/2016/02/10/interview-with-performer-mario-chan/

あなたを突き動かしているものは何ですか?
やめたいと思ったことは一度もないという気持ちが、自分を鼓舞するものの一つ。常に前進して、どこまでも高みを目指したいと思っている。全力を出し切ることを自分に期待しているし、自分の到達したいところに向かって日々活動をしている。

どうしてRE/PLAY Dance Editに挑戦しようと思ったのですか?
本作は自分にとって初のダンス公演になる予定。それが動きに対して独特のアプローチをしている多田淳之介さんのもとでできるということを大変嬉しく思っている。RE/PLAY Dance Editは、同じ動きを異なる方法でやるということについての作品だと思う。たとえば、握手とそこから連想される様々なことを考えてごらんよ。

日本とシンガポールの国際共同制作の出演者の一人として、どんなことを期待していますか?
慣れない環境で窮地に立たされるといいな!自分にしかできない動きを見つけ出したいと思っている。死ぬまで自分をリプレイしたいよ。

作品をつくりあげた暁には、自分の中にどんなものが残ると思いますか?
行為の意味をより深く味わえるようになっていると思う。我々は日々同じことをしている―ドアを開けたり、お金を扱ったり。そういった行為を生まれて初めて行う人々はどんな風だろうか、また、行為を行う人たちにどんな意味をもたらすだろうか?つまるところ、イマジネーションを膨らませることは実にすばらしいということだ。

Ma Yanling
https://replay2016.wordpress.com/2016/02/10/interview-with-performer-ma-yanling/

あなたを突き動かしているものは何ですか?
大学卒業以来ずっと、フルタイムで働きながらダンスや演技を続けている。ダンスの技術を磨くために投じている時間はフルタイムのプロには及ばないが、よりよいパフォーマンスを追求し続けながら、同時にその外の世界でのキャリアも積むことのできている自分は、幸運な境遇にあると思う。

RE/PLAY Dance Editに参加したきっかけは何ですか
RE/PLAY Dance Edit のオーティション参加者募集のことを知ったのは、「これやってみなよ」と軽く友達にけしかけられたから。そこから「やらない理由はないな」と考えはじめた。そして、自分は長い間アンサンブルかカンパニーの中で、気の知れたダンサー仲間と慣れ親しんだやり方で踊ったりパフォーマンスしたりしてきたことに気付いた。RE/PLAY Dance Editでは個人で活動している他の出演者と、まったく新しい空間でやることになるのでわくわくしている。同時にちょっぴり怖さもある。

この日本とシンガポールの国際共同制作の出演者の一人として、どんなことを期待していますか
多田淳之介さんと作品づくりをする過程をとても楽しみにしている。様々なことばのやり取りや、文化の違い、パフォーマンスの形式はとても興味深いものになると思う。

Elizabeth Loh 
https://replay2016.wordpress.com/2016/02/12/interview-with-performer-elizabeth-loh/

あなたを突き動かしているものは何ですか
パフォーマーとしての、演劇をやっている者としての自分の情熱に従っている。世間が何を「まっとうな職業」と考えているかなんて関係なく。ははっ!

RE/PLAY Dance Editに参加したきっかけは何ですか
しばらくの間、演技や、ダンスのトレーニングや講座を続けてきたので、私が好きなこの二つの要素を掛け合わせると何が出るのかを見るいい機会になるのではないかと思って参加した。

この日本とシンガポールの国際共同制作の出演者の一人として、どんなことを期待していますか
演出家のスタイルと演出、他のダンサーとの協働を楽しみにしている。

作品をつくりあげた暁には、自分の中にどんなものが残ると思いますか
疑念は取り払って、ただ動くことができるようになっていると思う。

Jaenny Chandra
https://replay2016.wordpress.com/2016/02/14/interview-with-performer-jaenny-chandra/

あなたを突き動かしているものは何ですか
単に規範に従ったり、そこに存在しているだけの人生を送るのではなく、情熱を持って取り組めることをやるべきだと強く信じている。私は自分のダンスとフィットネスへの情熱を追求するために、安定して高収入の職を辞めた。容易な決断ではなく、険しい道のりだったが、今は自分が日々やっていることを愛している。私は昔かなり太っていたし、自分の身体について批判的だった。しかしこれまでのキャリアを通じて、正しくエクササイズすることや食事することに関してより多くの知識を得た。昨年はストレート・タイムズ紙の「(体を鍛えている)注目の仲間コーナー」に取り上げられた。

RE/PLAY Dance Editに参加したきっかけは何ですか
コンセプトがユニークで関心を惹かれた。オーディション中、私たちは興味深い方法で動くことに挑戦したが、そこでは「ダンスっぽく」見えすぎてはいけない、もしくは振付しているように見えてはいけなかった。個人的には、それはダンサーとして非常に困難なことだと分かった。共感を呼び、かつ、踊らないようにしながら、いかにして身体の動きを通じて物語や概念を語れるかという挑戦だった。出演するダンサーは各々独自のスタイルを持っているし、自身に振付けることを許されているので、本作は間違いなくおもしろい、やりがいのあるものになると思う。

この日本とシンガポールの国際共同制作の出演者の一人として、どんなことを期待していますか
日本の演出家とダンサーと作品づくりをすることは異文化交流でもあるので、とても期待している。シンガポールの文脈の中で上演される斬新な海外の視点を見ることを楽しみにしている。

作品をつくりあげた暁には、自分の中にどんなものが残ると思いますか
どんなに異なるバックグラウンドを持っていようと、いかなる言語的・文化的な障壁があろうと、質の高いパフォーマンスをつくり上げようとする情熱と努力は普遍的なものだということを、この目で見たいと願っている。全く新しい体験なので、これを機に自分のダンスとパフォーマンスのキャリアで新たなブレークスルーをおこしたい。

Sufri Juwahir
https://replay2016.wordpress.com/2016/02/15/interview-with-performer-sufri-juwahir/

あなたを突き動かしているものは何ですか
パフォーマンスを通じて自分を表現する新しい方法を常に探求している。また、身体的・概念的なダンスのアイディアを押し上げるための新しい方法を追い求めている。

どうしてRE/PLAY Dance Editに挑戦しようと思ったのですか
これまでシアタークスと一緒に作品をつくったことはなかった。本作は自分に、ダンスを新たな視点から見つめるための挑戦になると思う。それぞれの振付家が、自身の文化的アイデンティティとパフォーマンスの経験を現場に持ち込んでくると思う。本作で踊ることを通じて日本の創作のやりかたを垣間見たいと思っている。

この日本とシンガポールの国際共同制作の出演者の一人として、どんなことを期待していますか
日本人アーティストと新たに友達になれることを楽しみにしている。また、稽古の前後の会話などからそれぞれのメンバーの文化に対する理解を深められることを期待している。

作品をつくりあげた暁には、自分の中にどんなものが残ると思いますか
パフォーマンスにおける「踊る/踊らない」の概念が残ると思う。それによってダンスの視野は確実に広がると思う。そうして得た知識や経験を自分の活動に活かしていけたらと思う。

Sheridan Newman
https://replay2016.wordpress.com/2016/02/15/interview-with-performer-sheridan-newman/

あなたを突き動かしているものは何ですか
今日まで25年近くもダンスをつづけてきた!ははっ。幼いころからダンスをやっていたが、14歳になってはじめて真剣にこの道に進むことを考え始めた。ダンスのいいところは、スタイルやダンスのジャンル、文化的文脈、動作の探求、ダンスの指導法、他社との分かち合う方法等々、様々な発見が尽きない点だ。自分は情熱を持って、飽きることなく、脇道にそれることなくダンスをやってきた。自分には、バレエから始め、その後ジャズ、サルサ/ラテン、モダンダンス、コンテンポラリーダンスと経験してきたバックグラウンドがある。シンガポールに来てからはマヤ・ダンスシアターでプリンシパルを務めてきた。Apsara Asiaではインストラクターとプロジェクト・コーディネーターを担当した。マヤ・ダンスシアターに加入して自身のダンス・演劇に対する視野が広がった。そこではインド古典舞踊、Bharath Natyam(インド舞踊の一種)、インドネシアのジャワ舞踊、バリ舞踊、そしてシンガポールの各民族文化を代表するマレー、華人、インド系のダンスを学んだ。4年間にわたりBharath Natyamの訓練を受けた。非常に難しいダンスの形式だが、とても美しく自分を鼓舞するスタイルでもあった。今はよりインディペンデントなアーティストとして、学んだことを取り入れながら、多文化が入り乱れる現代でより多くのダンスを探求・発見していきたいと思っている。

どうしてRE/PLAY Dance Editに挑戦しようと思ったのですか
常に新しいアーティストと新しいことに挑戦したいと思っているので本プロジェクトはパーフェクトな機会だった!慣れ親しんだ環境から離れ、初めて出会うアーティストと一緒に作品を作ることで、刺激的な展開が繰り広げられるだろう。その過程から様々なことを学びたいと思っている。また、(それがどういう意味かはさておき)「ダンスっぽく」見えないようにしながら動きと反復で身体を探求するという、多田淳之介さんの芸術的なアイディアはとても面白いと思った。なので、彼の視点で我々にどのような演出がなされるのか、最終的にどんなものが出来上がるのかを楽しみにしている。

この日本とシンガポールの国際共同制作の出演者の一人として、どんなことを期待していますか
日本人アーティストのやり方をもっと学びたいと思っているし、彼らが私達とどのような経験を共有できるか楽しみにしている。シンガポールは近隣諸国から、働き方、アイディア、リスクなど多くのことを学べると思う。外国からのアーティストとのコラボレーションはいいことだ。そうすることで我々は真に人々やその文化を理解することができる。

作品をつくりあげた暁には、自分の中にどんなものが残ると思いますか?
うーん、まだ経験しないうちに、終わった後に何が残るかを言うのは難しい。同じ経験は二つとないし、何が起こるか、何が出てくるかは分からない。なので、様々なアーティストと一緒に、シアターワークスのコミッションで、シンガポールと日本がコラボレーションした、この作品が残る、として回答に代えたい。

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