2016年2月10日水曜日

プレビュー/The Business Times,(2016年2月5日掲載)by Cheah Ul-Hoon

シンガポールの新聞「The Business Times」にて、多田淳之介さんのインタビュー記事が紹介されました。



「ダンスの名のもとに振付を掘り下げる」
(翻訳:齋藤梨津子)

 ダンスとは何か?演出家はこの問いをうまく検証することができるのか?
 TheatreWorksとOffsite Dance Project (日本)の共同制作 RE/PLAY Dance Editは、ダンスとは単に音楽に合わせた調和した動作のことなのか、それ以上のものなのかを問う作品だ。
 本作で6人のダンサーは各々自らを振り付けし、それを繰り返し踊りつづける。その上で、他のダンサーに干渉してはいけない、という「ルール」が課される。
 「このルールの範囲内で、彼らは自分のやりたいようにできる」と、2001年から東京デスロックを主宰し、2010年から富士見市文化会館キラリ☆ふじみの芸術監督を務める多田淳之介は説明する。
 そして「大事なのは、本作においてダンサー達がいかに各々の違いを発揮し、それを舞台に現前させることができるかということ」と付け加えた。
 彼の活動は演劇がメインだが、ダンサーの多様性がいいと言う。同じ国出身のダンサー同士は、出身国の異なる俳優同士よりもはるかに多様性に富んでいるというのだ。 
 「彼らが自分自身を表現する方法は実にさまざまだということを目の当たりにした。」俳優の身体、観客、劇場空間を含めた、現前=現象というコンセプトを哲学に持つ多田は言う。
 このようなRE/PLAY Dance Editに対する多田の姿勢を受け、オーストラリア人ダンサーSheridan Newmanは、反復動作を探求した先に何が起こるのか見てみたいと興味をそそられている。「自分が何をするかはっきり分からないときは難しい。しかし多田さんはすでにこの作品を上演したことがあるし、明確な意図を持っている。本作は私にとって、自分自身の中で進行する変化を自ら発見するようなもの。」と在星歴五年のNewmanは言う。彼女は当初Maya Dance Thearteに所属していたが、現在自分のカンパニーを立ち上げ中だ。
 Ma Yanlingは正規のダンス教育を受けたことが無いが、T.H.E Second Companyの作品に出演している。彼女にとっては、本作はダンスと演劇の興味深いコラボレーションと映っている。「私が個人のダンサーとして、普段一緒にやっているのとは違うダンサー達と踊るのは今回が初めてなので、自分のコンフォートゾーンから抜け出す一歩だと思っている。それに本番のわずか10日前に稽古が始まるという実に短期間の制作なので。」と彼女は指摘する。
 オーディションが行われたのは一年前だが、ダンサーたちはその後、特定の指示を受けただけなのだ。
 混乱と分断を通して、本作はダンスの新しいあり方を提示することができるのか?多田は日本と東南アジアの身体性をもってそれを成し遂げ、観客がダンスを再考し、探知し、自身の見方を育むことができるようにしたいと思っている。
 RE/PLAY Dance Editのカンボジア・バージョンは2017年を目指して企画中だ。

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